最近のとある日、
思考に気をつけなさい、それは、いつか言葉になるから。
ということは、
ある子供達の集団と交わした会話。
【野口】みんな音楽は好き?
【子供達】好きー。
【野口】音楽の何が好き?例えば、歌ったり、楽器を演奏したり、人の演奏を聞いたり・・・
【A君】歌うのが好き。
【野口】そっか。じゃあ、A君は歌っているとき、どんな気分になんの?
【A君】なんか、いい気分。
【野口】いいね!ところで、その「なんか、いい気分」っていうのは、どんな気持ちなの?
【A君】・・・・・・モヤモヤ・・・・・ん〜〜〜、楽しいって感じ?
【野口】なーるほどね!楽しいね!それって最高だね!
じゃあさ、A君は、どうして歌っている時に楽しい感じになれるんだろう?
【A君】・・・・・・モヤモヤ フタタビ・・・・・
【野口】OK!!他の人にも聞いてみよっか!Bちゃん!!
Bちゃんは音楽の何が好き?
【Bちゃん】楽器の音〜
【野口】お、そうなんだ!何の楽器の音が好きなの?
【Bちゃん】ん〜鉄琴とか好き〜。
【野口】鉄琴、素敵だね〜。
ところで鉄琴の音の、どんなところが好きなの?
【Bちゃん】キレイなところ〜
【野口】そうなんだー!!
じゃあ、Bちゃんは、どうして鉄琴の音を聞いて、「キレイだな〜」って思うの?
【Bちゃん】・・・・・・モヤモヤ・・・・・
以下省略。(笑)
もちろん、子供達をモヤっとさせることが目的だったわけではありません。
ただ、僕たちは、ときどきあまりにも「言葉の力」を過信してしまう時がある。
言葉にして伝えなきゃいけない!
と焦ってみたり、
言葉にして言わせることを強要してしまったり。
世の中には“言葉のプロ”という人たちが沢山います。
▶︎例えば、勝間和代さん。
“話し方”の本(「稼ぐ話力」毎日新聞社)まで書いている彼女ですら、
「私は、自分の思考を30%も言葉で伝えることは出来ません。」
と明言しています。
▶︎「バイトするならタウンワーク」のキャッチコピーでも知られる、
コピーライターの梅田悟史さん。
多数の受賞歴を誇る彼はこう問います。
「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?」
(「言葉にできるは武器になる」日本経済新聞出版社)
▶︎僕はもちろん言葉のプロというわけではありませんが、
子供達にした質問に対して、
僕自身が明確に言葉で説明ができるかと言われれば「NO」です。
ところで別のある時、
子供達に、ある曲の「好きな部分」と「その理由」を書いてもらったことがありました。
彼らのほとんどは、なんとか必死に、
言葉を捻り出し、全うそう?な文章を書いてくれている中で、
僕の心に突き刺さったのは、こんなコメントでした。
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「好き」の理由をきかれても書けません。
好きだから好き、他に理由はありません。
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これを読んだ時、僕の世界観は一気に塗り替えられました。
そして、こうも思いました。
「もし僕たちが、全てのことを言葉で表現できるようになった時には、
音楽は必要なくなるのかもしれない。」
って。
人を好きな気持ちを、言葉だけで完全に伝えることが出来たとしたら、ラブソングって必要?
理不尽な思い、怒り、絶望、苦しみ、この感情を言葉だけで伝えられるのなら、
今現在ある多くの名曲は生まれなかったかもしれない。
▶︎勝間和代さんは、「自分の中身の30%も言葉では伝えられない。」と言いました。
▶︎梅田悟史さんは、「言葉は思考の上澄み」とも言っています。
つまり、表面に出てきている【30%の言葉の質・熱量】を決めるのは、
その水面下に潜んでいる残り【70%の思考・想い】だということです。
言葉だけでは言い表せない
ありとあらゆる感情、イメージ、物のあり様を伝える力を持つ音楽は、
“表面下の70%”をより豊かなものへと育てる力があるんだ!!
これに気がついた時、僕はマザーテレサのあの有名な言葉を思い出しました。
「自分の発した言葉は、自分の運命を作る。」
というこれです。
言葉に気をつけなさい、それは、いつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それは、いつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それは、いつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それは、いつか運命になるから。
音楽には人の運命を変え得るだけの力があるってことだ!
オーバーだと思いますか?
でも僕は、僕の活動の理念の根底として、これを大切に持ってみることを決めました。
この秋、また再び一緒に演奏することになったステップクインテットのメンバー達とも、
この話を共有し、これからいよいよ本格的な準備に入ろうとしているところです。
▶︎そして、冒頭の子供達。
あんな質問をしなくたって、
彼らが音楽好きであることは、ほんとは僕もよく知っている。
言葉では伝えきれない楽しさを運んできてくれる音楽。
今、彼らともまた、その“楽しさ”の正体を探しに行く旅に出ている最中なのです。
ワクワクが止まらん♪