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2019.10.12ブログ

「アーティスト」であり「クリエイティブ」であるということ




こんにちは。
音楽家の野口幸太です。

本来であれば、今ごろは、
今日が本番予定だったコンサートが間も無く終演しようとしている時刻。

しかし、台風で中止が決まったので、今日はのんびり家で休もうか、、、
と、思っていたけれど、やっぱり僕はじっとしていられる性分じゃない。


今日も朝9時までは、ベッドの中でちょっとした葛藤をしてました。

▶︎僕の頭の中では、、、
せっかく一日フリーになったのだから、
こういう時くらい身体を休ませれば良いじゃないか。
よし、少なくとも午前中いっぱいはこのまま寝てよ〜。

▶︎一方で僕の心の声は、、、
せっかく一日フリーになったのだから、
ブログも書けるし、楽譜も書ける、ピアノだって弾き放題じゃないか!


で、結局心の声の勝利!
9時過ぎには起きて、着替えて、オフィス部屋(旧レッスン室)の掃除をスタート。
そして、ピアノを弾いたり、こうしてブログを書いたりしてる次第です。


ちょっと忙し過ぎるのでは?
と、僕の身体のことを気遣って下さる方もいらっしゃいますが、
それは心配ありません。
何故かと言うと、身体と心はちゃんと繋がっているからです。

つまり、身体が本当に無理!
という時には、心もそれに相応しい状態になっているので、
身体にとって無理な行動を起こさせるような爆弾を落としてきません。(笑)

だから、身体の信号と、心の信号、両方にきちんと耳を傾けて、
瞬間瞬間の行動を選択するのが良いように思います。

頭で考え始めるのはその後。
目的地にたどり着くために、地図を読み、速度を決めて、プランを立ててみる。
これが“頭脳”の役割です。


「ステップクインテット」のメンバーと誓ったこと







さて、今日一緒に演奏するはずだったのは、「ステップクインテット」のメンバー達。
今回は主に子供達のために向けたコンサートプログラムでした。

僕たちはこのコンサートを“沢山ある中のひとつ”にしたくはありませんでした。
たったひとつの特別なコンサートにするために、
音楽家である僕たちが、子供たちのために演奏することの意義を考え、誓い合いました。


▶︎内容は、だいたいこんな感じです。

その昔、ヒトは、ヒト同士が円滑にコミュニーケーションを取るために、言葉を発明しました。
あまりにも便利なものだから、多くの人は、言葉を過信しています。

でも、言葉を扱うプロ達は口を揃えて言います。
言葉は不自由なものだ。

言葉だけでは伝えきれないもの、
言葉だけでは埋められない隙間がある。


じゃあ、音楽はどう?



DefTech(デフテック)というユニットの歌です。
音楽は、言葉では伝えられない思いを伝えることができる。
言葉では埋められない心の隙間を埋めることができる。

言葉にならない祈り、
言葉にならない愛おしさ、
言葉にならない悲しさ、叫び、喜び、、、

これを伝え、自分の心を満たすために、ヒトは本能的に音楽を生み出してきた。

だから、僕たち音楽家は音楽を通して、そのワクワクをシェアしていく。
という使命がある。

考えるのはあとからでイイ!
最初はただ思うだけ。
ただ思って、ただ動いてみる。

そうすれば勝手に、頭も動き出す。
目的地に到着するために必要なコトは、
ちゃんと頭が考えだしてくれるから。

とにかく僕たちは、音楽で“楽しいの種”を子供たちにいっぱい振りまこう!!

こう誓って、取り組んでいたコンサートだったのです。


思いを結実させた先に・・・


ところが、最終リハの直前になり、
台風の影響でコンサートが中止になることが決まりました。
本番がなくなったわけだから、普通だったら、リハーサルをする必要もない。
そのまま、お疲れ様でした!で済むとこだけど、
僕たちに「リハをやらない」という選択肢はありませんでした。


僕たちは僕たちが、このコンサートのために育ててきた思いを、
きちんと結実させる必要があったんです。
コンサートが中止になってしまったことは、とっても残念なことだけど、
それよりももっと酷いことがある。

それは、思いを残したまま終わること。

だから、本番はなくなったけど、今日の最後の4時間リハを、
本番と同じ気持ちで、とことん楽しい4時間にしよ!

どうせだったら本番と同じ衣装を着て、演奏動画を録画しよう!
リハーサルという名の本番だ!!

このアイディアにNoを唱えるメンバーは誰も居ませんでした。
それどころか、どんどん気持ちが高まっていく!

表に出ることはない幻のプログラムを、
心底本気で練習(リハ)するんだ!

という僕たちの行動は、自然と関係者の間に広がっていき、
リハ会場には、数人のお客さんが集まってきました!
そのお客さんたちは、最初から最後まで
ずっと僕たちのリハに付き合ってくれました。(4時間だよ、4時間!)


こうすることで、僕たちはまたひとつ気づいたことがあります。

それは、 僕たちはコンサートがしたいわけではないんだ!ってこと。

僕たちは、心底大好きな音楽を、心底楽しく演奏することで得られる、
幸福感、満足感が欲しいんだ!
そしてそういう満足は、ただ受け身で待っていてもやってこない。

「そうなったらいいな〜。」と思っているうちはまだ夢物語。

「そうなる」と心で決め、夢だったものを現実のものに変えていくこと。
そのための行動を取っていくこと。
それがクリエイティブである。
ということなんだ、って!


さて、僕たちが僕たちの思いに忠実に従い、動いたことで、
ちゃんとその次の展開が始まった。

とっても異例なことだけど、このコンサートの延期開催の可能性が提示されました。
本来なら年間計画の段階で、細かい調整を要するコンサートのはずなのに、
様々な人の熱意・思いによって、なんともスムーズにコトが動いていったのです。

そして翌日には、延期開催されることが確定しました。
本当に感謝すべきことです。
有り難いことです。


だけどこういうことって、別に僕たち音楽家に限った話じゃないよね。
“アーティストである”というのは、自分が心底求めるものといかに繋がっていられるか、です。
そして、それを現実のものに変えていくための行動が“クリエイティブ”の部分です。

「音楽家」だからと言って必ずしも「アーティスト」ではないし、逆にどんな人でもアーティストになり得る。
僕はそう思ってます。

クリエイティブであることは、別段特別なことでもなんでもない。
みんなそれぞれが、それぞれの持ち場持ち場で実現できること。
自分の心の声に従って、ただ思い、ただ動いてみることで展開していく次のステージが必ずある。
そんなことを伝えたくて書きました。

ではでは、最後に僕たちの本気のリハの様子を一部、動画でご覧ください♪
「竹とんぼに」という歌です。