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2018.9.26活動案内

今の日本で「音楽を仕事にする」という選択/音大卒者の可能性



何年か前、ある地方都市の市民オペラ公演を観に行きました。
その公演の演出家から「すごくいい舞台だから」というお誘いを頂き、新幹線に乗ってそのオペラを観に行くためだけに一日費やしました。
確かに素敵な舞台でした。

もちろん、プロフェッショナル・カンパニーにような膨大な予算がかけられているものではないことは一目瞭然。「洗練さ」という観点からも、プロ集団には及ばないのは仕方のないことです。

だけど、僕はこの舞台はこれまで観てきた中でも、五本の指に入る「印象的な舞台」だったと思っています。

▶︎その理由は、たぶん・・・
ひとことで言うと、「活気と一体感」だと思います。

まず、会場に入った瞬間から受付スタッフの方々の生き生きとした様子。
会場内に入ると、お客さんたちのワクワクした様子。
見るからにこの舞台を楽しんで歌い演じている市民合唱団の面々。

とにかく演者・スタッフ・観客、みんなが楽しそうなんですね。 多少荒削りなところがあったって、そんなの構いません。
僕は凄く楽しいオペラを観させていただいた。

後日東京で、この市民オペラの仕掛け人の方とご一緒させて頂く機会を頂きました。
近年、「オペラ興行」というものが、そう上手くはいかなくなってきている現状において、これほどまでに町全体が一体となって公演を成功させられる秘訣はなんだろう・・・。
その方はおっしゃいました。
「需要というものは作るものなんです。」

うん・・・。
で、この町の市民オペラ、今でも毎年公演は盛り上がっているようです。


クラシック音楽の公益性?




クラシック音楽のコンサートは、公的な助成金がないと存続させることがとても難しい現状があります。
しかし近年は、国や地方自治体の文化予算は徐々に削減されていく傾向にあります。

■日本において、「クラシック音楽」はステータスシンボルのひとつとして発展したきたという側面があります。
だからこそ、ピアノも大量に売れたし、音楽教室業界も大変に繁盛し、音楽大学は良家の子女にとって上質な花嫁学校としても機能できました。
つまり、「クラシック音楽」に触れていることは社会生活の向上を意味することでもあったのです。

■ところが、現在の日本では、クラシック音楽と関わることが社会での成功や安定を保障する時代ではなくなりました。
つまり「クラシック音楽の公益性」が、以前ほどには認められなくなってきているわけですから、国民が納める税金から捻出される助成金がカットされていくのも仕方のない流れのような気もするのです。

音楽家は、ただ「文化保護だ!」と叫んでいるだけでは、事態が好転することはないだろう。と僕は思っています。

■そして「クラシック音楽」という文化そのものが、そもそも日本独自のものではない。という事実も冷静に受け止め、頭の隅に置いておく必要はありそうです。
例えば、もし仮に「歌舞伎や雅楽のような日本の伝統芸能」と「バッハやベートーヴェンのような西洋の音楽」どちらかしか残さない。
と言う局面にあった場合、日本国家としてどちらが選択されるかは明白だと思うのです。

日本人である我々が西洋の文化である「クラシック音楽」を専門的に学び仕事にしていることの意義を、もう一度個人レベルで見直しをしておくべきです。




音大卒業者の音楽スキルは高い




音大卒業生の多くは、音大受験をする前から専門的な教育を受けます。
楽譜や音楽理論の知識、楽器や歌のスキル。
音大に入学すれば更に深く学んでいくことになりますので、卒業する頃には音楽的なスキルは相当なレベルにまでなっているはず。

ただ、ほとんどの音大卒業者はそんな自覚がありません。
実際に僕もそうでした。
音大という場所に入ってしまうと、どうしても「世界的に第一線で活躍しまくっている巨匠演奏家」とか、そこまで行かなくても「著名な国際コンクールで1位をとった天才演奏家」などに視線が行きがちになるんですね。
そうすると、自分なんて彼らの足元にも及ばない→音楽家として仕事をすることは不可能だ。→音楽の道は諦めよう。
となる人が多いのです。


だけどこの「音楽の道」というのが問題なんです。
本当は「音楽の道」って色々とあるのに、音大時代までの価値観が偏ったメガネをかけたまま道の入り口を探そうとしても、なかなか目に入ってこないんですよね。本当はすぐそこに道は開けているのに。。。

■はっきり言って、世界の第一線で活躍する名演奏家は、全体の一握りもいらないんです。
そんなに需要もないから。

五線譜が読めて、自分の専門楽器で楽譜の音を再現する能力がついていれば、これは音楽スキルが高いと言っていいと思います。
その能力は、いわゆる「コンサートのための演奏」に限らず、他にも様々な場面において汎用できるはずなんです。


■僕の場合は、ピアニストとしての技術は「まぁ、そこそこ」のレヴェルです。
ただ、僕は絶対に音楽で仕事がしたかったんですね。
だから、「音楽ができそうだ」と察知した所にはしがみつきました。

音楽に参加するための条件として、MCを課せられれば必死で原稿を書き喋ったし、踊れと言われれば踊った(笑)
(ピアニストなのに)歌をリクエストされれば歌った、制作業務も随分とやってきた。芝居もしたことある。
子供のためのワークショップ、サラリーマンを対象にしたクラシック講座などの類のことも随分とやりました。

そんなことをしているうちに、今の自分がいます。
食べていくのに困らない程度の収入は得られるようになりました。

そしてそれ以上に、僕は僕にしか歩けない「音楽の道」を歩いているんだ。と、自信が持てるようになってきました。

こういうのって多分かけ算で、【(ピアノの能力7)×(MC能力5)×(制作スキル3)・・・・】という風に増えていくんだなっと思います。
足し算じゃないんですよ。
つまり、必ずしも「演奏能力が10」である必要はない。他でかけ算すればいいんだから。


「需要は作るもの」という言葉




冒頭の市民オペラの話。
仕掛け人の方が僕に言ってくださった「需要は作るもの」という言葉が、常に頭の隅に残っています。
それはつまり、音楽と社会との接点を作っていく。ということでもあるんだと思います。
社会のニーズと自分がやれることの接点。
それからもちろん、自分の望む生き方とを繋げていくこと。

■現在、多くの私立の音楽大学が存続の危機に晒されています。
「少子化」と叫ばれていますが、実は18歳人口の減少スピードよりも、音大受験者数の減少スピードの方が上回っている事実もあるんです。
さらには、もう既に国によって大学が経営破綻した際の事後処理マニュアルも整備されているのだとか。(参考「2018年問題とこれからの音楽教育」久保田慶一著)

悠長なことは言っていられないんです。
まず僕は、音楽というもので実現可能なことをどんどん追求していきます。
もし僕の考えに興味を持ってくれる音楽家、音大生、音大卒の方がいらっしゃいましたら、是非コンタクトください!!




10月27日(土)17時 〜最高にオシャレでグラマラスな一夜を。






GLAMOROUS NIGHT pre
2018年10月27日(土)17時開演
会場:STATION STUDIO HATAGAYA

【出演】
歌:舟橋千尋、前田めぐみ、鈴木俊介、井出壮志朗、
ピアノ:織井香衣、谷川瑠美、野口幸太
音楽監督:横山修司
ステージング・ディレクター:清水龍之介
会場 :STATION STUDIO HATAGAYA
主催:GLAMOROUS NIGHT project




オモシロ楽器「カズー」の練習日記


アフリカ発祥のオモシロ楽器「カズー」の練習風景を動画にまとめてみました。
僕的には、遊びでもあり研究でもあります!!





野口幸太ピアノ教室 新規のレッスンを一旦締め切ります








(2018年9月26日現在)
日吉・綱島地区のピアノ教室です。
現在のところ、レッスン可能な人数が上限に達したため、一旦クローズいたします。
募集状況については、随時ブログ上にてご案内をいたします。

▼当教室のレッスンスケジュールは、「毎週◯曜日◯時」という固定制ではなく、毎月ごとに講師と生徒さんの都合が合う日時を設定しております。
(レッスンのご予約はインターネットの予約システムを利用しています。)
その他詳細につきましては、ピアノ教室のページをご確認の上、お問い合わせフォームからご連絡ください。