自分のピアノ教室のオリジナルな価値について考えるのであれば、
おはようございます。ピアノ教師の野口幸太です。
もう6月!!
年齢を重ねるにつれ、時間の流れの感じ方が早くなる・・・
というのは、ホントなんですね。
やりたいことがたんまり!!、、、、だけど、時間は待ってくれません。
仕方ないから、目の前のことをどんどんやっていくしかない。
今月もよろしくお願いいたします。
この6月から、僕の教室(野口クラス)では開室以来続けてきた運営のシステムを、
大幅に変更しました。
具体的には、レッスンのスケジューリング方法について、
フリー制から固定制に移行し、その変更に伴って必要な諸々の調整を行った次第です。
在室中の生徒さん方には、本当に多くのご協力をいただきました。
3月から調整を始め、ようやく6月から新システムで運営を行えるに至った次第です。
本当にありがとうございます。
運営方法を一新し、
月曜日の久保田クラスの生徒さんも含め、
総勢60名の生徒の皆さんと一緒に、“音楽の場作り”を進めていきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
■というわけで、この6月からは「ピアノ教室」のページも一部リニュアールし、
プチ新体制でのぞんでいきます。
僕がこの横浜でピアノ教室を開室したのは2011年だから、今年で8年目。
この8年間、
僕が「ピアノ教師」という仕事を通して何を実現させたいのか、、、
ここに集まってくれる生徒さんたちに提供できる価値とはなんなのか、、、
言葉に出来そうで出来ずにムズムズとしていたことが、
なんとなく、とりあえず頭の中では言語化出来る段階に入ってきたようなので、
今度は文章化することにトライしてみようと思います。
言語化してみたその文章を、このブログを訪れてくださる方々とシェアすることで、
もしかしたら、また新しい視点が生まれるかもしれない。
・・・ということで、いつもながら無計画な作文ですが、、、
よろしければお付き合いください。
日本の「ピアノ教室」を取り巻く環境の変化
ノーマルも知っておく必要があるということに気がついた僕は、
昨年の夏以降は、そのためのリサーチに邁進していました。
具体的には、明治以降から現在までの日本において、
「音楽教育」というものがどのような目的の元に行われ、
それぞれの時代でどんなことを社会に果たしてきたのか。
という内容に注目していました。
▶︎なぜ、「明治以降」なのか。
僕自身が専門としている「音楽」とは、
西洋発祥の「ドレミファソラシド」の音階や、
五線譜を使った音楽、つまり「西洋音楽」と呼ばれるものです。
その西洋音楽が積極的に日本に取り入れられたのは
明治以降のことなので、このあたりの時代からリサーチをしていきました。
ひとつの国がよその国の文化をこれだけ積極的に、
しかも公教育の場において重視される。
ということ自体が、世界的に見てもかなりのレアケースで、
そこの部分だけを掘り下げていっても面白そうなのですが、
今回は控えておきます。
今回このブログ記事の中でハッキリさせておきたいのは、
ものごとの価値観、良し悪しの判断基準は、
その時代、その時代の国の情勢(もちろん経済も含めて)によって、
どんどん変化していくもので、音楽教育もまた同じなんだ。
という点です。
・・・・・・・・・
♪あ〜、この記事、やっぱりちょっと長くなりそうですね!
ちょっと、休憩しませんか。(笑)
■4月に行った江ノ島水族館のクラゲです。
見れば見るほど不思議な生物だよな〜〜〜ぁ。。。なんてね(笑)
さて、時代を飛ばしましょう。
戦後の高度成長期の日本です。
この頃、ヤマハやカワイといったメーカーによる
日本製ピアノの生産量がピークを迎えます。
“一億総中流社会”といった雰囲気の中、
それまで上流階級の家にしかなかった“憧れの商品”の数々が、
多くの世帯に普及していきました。
ピアノもまた、そのうちのひとつだったわけです。
大手楽器メーカーは、全国各地に音楽教室を展開し、
そこで生徒を集めることで、自社の楽器の販売促進にも繋げていった。
という側面もあります。
■また、この頃は、
「音大卒業」という学歴は、女の子達にとって憧れのブランドでもありました。
音大を卒業して箔をつけてから嫁入りをする。
ということが当たり前に行われていましたし、
実際、僕が音大生だった頃(20年前)も、
まだ少しだけ、そういった雰囲気が残っていました。
つまり、かつての音楽大学は、
単に音楽を学ぶだけの場所というだけではなく、
良質な花嫁学校としても機能していて、
それが社会的にも認められていたというわけです。
(もっというならば、音楽大学の経営が成り立っていたのは、
そういった世の中の風潮のおかげでもありました。)
▶︎憧れのピアノ!!
▶︎憧れの音楽大学!!
そんな憧れの世界が、上流階級のものだけではなくなったわけですね。
こういった価値観の中、
ピアノ教室業界は大いに繁盛したと言います。
そして、
「いかに多くの音大進学者を輩出するか」
が、ピアノ教室(教師)としてのわかりやすいステータスともなりました。
社会全体が、そういったひとつの価値観を共有していた時代ですから、
ピアノ教師たちが組み立てるレッスンカリキュラムだって単一的なものでした。
そのカリキュラムというのはつまり、
「音大入試に備えるためのカリキュラム」です。
それに付いて来れない子供たちには、
「音楽の才能がない子」とレッテルを貼っておけば、話が簡単に済む時代でした。
なぜならば「音大入試に合格できる子が音楽の才能がある子」という世の中の価値観だったからです。
誰も悪くありません。
ただ、そういう時代だったというだけのことです。
■さて、現在はどうでしょうか。
▶︎「音楽大学卒業」は良い結婚のためのステータスでしょうか。
▶︎“お受験ピアノ”が弾けない子は本当に音楽の才能がないのでしょうか。
▶︎仮に音楽的能力が低い子がいたとして、
その子にはピアノのレッスンを楽しむ権利はないのでしょうか。
僕の答えは全て「いいえ」です。
■さらに、もうひとつ別の視点を。
戦後の物不足という辛い経験から、
僕たちは「物を充足させること」で豊かさを感じ、
また、それを目指そうとすることで、経済も回っていくようになりました。
さあ、十分に物を得られる様になった今、
僕たちはもう物だけでは、心を満たせないんだ。
ということを学ぶようになりました。
車にしても、マイホームにしても、
そしてもちろんピアノにしても。
ピアノを持っているだけ、
ピアノを上手に弾けるというだけ、
そのこと自体がステータスであった時代はもう終わったんです。
今、多くの人が求めるのは、
目先のモノや、
人に見せびらかすための表面的なナニか、、、
ではなく、自分の心を満たすこと。
自分が自分らしく生きること。
モノや能力はそのために必要な単なる道具。
ではないでしょうか。
■「多様性」という言葉が沢山聞かれる現代ですが、
ピアノ教室を取り巻く環境も本当に多様化してきています。
ピアノは所有していない。今後も購入する予定はない。
(つまり、自宅でのピアノの練習は不可能)
でも、ピアノに触れてみたい、音楽に触れてみたい(或いは触れさせてみたい)、、、
そんな方々からレッスンの相談をされることは珍しくありません。
■一方で、自宅でバリバリ練習している、いまどきの子たちの演奏レヴェルは凄まじいものがあります。
最近では僕もコンクールの審査員として、
幼稚園生から大学生まで演奏を聴く機会がありますが、
ああいう場に出てくる子達は、本当に演奏が巧みです。
僕も小6の時に同じコンクールの全国大会で入賞しましたが、
当時の僕が、現在のこのコンクールに挑戦したとしても、
まず間違いなく地区本選敗退だろうな。
と確信しています。
(地区予選は多分いける・・・と思う。笑)
それだけ彼らは本当に弾けるんです。
しかし彼らの大半は、将来、音楽を職業にすることをほとんど視野に入れていないのだそうです。
大人になるまでの経験のひとつとして、ピアノのコンクールにチャンレンジする。
というわけです。
・・・似たような話を、ある名門女子校で音楽教師をしている先輩から聞きました。
「(ピアノやヴァイオリンが)
メチャクチャ巧い子たちほど音大には行かないのよっ!」
■話はまだあります。
現在、YouTubeなどのネットの世界で
ピアノを弾いて収入を得ている若い人たちの中には、、
音大を卒業していない人たちも多くいます。
つまり「ピアノを仕事にしたい」だけなら、
わざわざ高額な学費を支払ってまで音大に行く必要はなくなったということです。
しかも、興味深いのは、彼らがピアノで収入を得るためには、
必ずしも「巧く弾ける必要はない」という事実がある点です。
・・・いや、ほとんどの人たちは確かに巧いんですよ!
でも、「ピアノど素人の自分が、独学でピアノを練習してみた」なんて動画が人気を博し、
その動画に広告がついて、収入になっているというケースもあるわけです。
どうでしょう。
これだけ価値観が多様化している現代において、
僕は、ピアノ教師として、どういう価値を社会に対して提供できるのでしょうか。
あなたの人生あなたが主役!
僕はもともと歌が好きで、
おもちゃのマイクを自分のリュックに入れて持ち歩き、
ラーメン屋の有線で好きな歌がかかると
そのマイクを取り出して、
他のお客がいる前で歌を披露するような3歳児だったそうです。
(僕のお気に入りの歌は「氷雨」(演歌)だったらしいです。)
小4の時には、
世の中には「音楽だけ勉強する大学(音大)があるらしい!」と知り、
そこに行く!!!
と宣言し、周りを卒倒させ、
まあ、その後色々とあったとは言え、
今現在、大好きな音楽を仕事にしています。
大好きな音楽に囲まれているわけですから、
ある意味では幸せと言っていいのかもしれません。
でもね!気づいてしまったんです。
音楽自体に幸せがあるわけではないって。
僕は音楽、ピアノという道具を使って、
様々な経験を得て、頭と心と身体を動かし、
そのプロセスの中で自分という人間を知っていきながら、
その“自分”という人間を生きていきたいってだけなんだよな〜って。
ピアノを上手に弾けること自体にゴールはない。
音楽をすること自体が目的ではない。
それをやってみることで勝手に湧き出てくる、
満足感、幸福感、充足感、達成感、挫折感、劣等感、嫌悪感、絶望感・・・・
この全てが僕の生きるエネルギーになり、財産になるんだ。
→その逆も言えます。
僕には生きるエネルギーが満ち溢れているからこそ、
笑えるし、怒れるし、泣けるんだ!!
そして、そんな経験と感動の大半を音楽を通してやってるだけなんだ。
と、わかってしまった。
だからもう我慢できないんです。
▶︎ただ「ピアノ上達だけ」を目的にする教室運営、
▶︎「自宅で練習しない」という選択をする生徒を承認しない教室運営、
▶︎どう見てもピアノ好きそうじゃないけど、何とな〜く通ってくる子を見離す教室運営、、、
僕は全部ムリ!!!(笑)
そんなの全部 “この場・この時” だけの話だから。
だから、全員が音楽好きになる必要なんて全くありません。
そうさせようなんてことも1ミリも思ってない。
ピアノを習っているからピアノが好きでなきゃいけない、
音楽好きでなきゃいけない、、、、
そんなこと嘘です。
大事なのはそこじゃない。
僕の人生は僕が主役・・・であるように、あなたの人生はあなたが主役。
音楽が好きであろうと好きでなかろうと、関係ない。
僕とはちょっと好みが合わないってだけ。
あなたが主役のあなたの人生の中で、
音楽が好きであろうと、好きでなかろうと、
僕の教室にレッスンに来てくれる以上、
本人が望もうが望まなかろうが、
バッチリと主役をつとめてもらいましょう。
主役の必需品はスポットライト!?
だとしたら、当てて差し上げましょう。
スポットライトって客席が見えなくなるくらい光量高いからね。
眩しすぎて耐えられなくなることもあるかもしれない。
そんな時は僕が、プロのピアノ教師として、全力でフォローしましょう。<
そして、この教室であなたが主役を目一杯演じきることができた時、
あなたの今、そして将来が輝くもの。
そう信じています。
そして結論!!
僕は僕の教室で、生徒さんにピアノを教えること、
ピアノを弾けるようになってもらうことが目的。
と考えたことは一度もないんです。
そのためのお互いの行動、関わり合い、頭と心を使って過ごすその時間の中で、
生徒さんと僕、お互いに磨き合いましょう。
そして、お互いに輝き合いましょう!!
ここは、それをやれる場である。
これが、僕の教室があなたに提供できる価値です。
生徒の皆さんも、そのための道具として、
僕の教室を存分に使いまくってくださいね。
やっぱり長くなってしまった・・・
最後までご覧いただいて、ありがとうございました♪
子供のための「ピアノ解体ショー」を開催します!!
https://www.youtube.com/watch?v=S5u8SyRYgak
これまで、コンサートのような演奏主体のイベントは主催したことはあるけれど、
音楽を通して出来ることは何もそれだけではないですよね。
特に、未来を担う子供達には、
今の年齢だからこそ驚けること、ワクワク出来ること、
そんな体験をたくさんしてもらいたい。
そして、音楽家としての僕が出来ることは、
決して「演奏すること」だけではないはず。
そうい言う思いから、企画を始めた第一弾がこれです。
今回は、
カワイ横浜店さんにご協力いただき、
小学生以上のお子さんを対象にした
「ピアノ解体ショー」をします。
8月3日(土)お昼頃。
(カワイ横浜 サロン:プラージュ)
実際に目の前で見て、耳で聞き、触れてみることで
得られる気づきが色々とあるはず。
楽器は科学技術の結晶でもあります。
また、長い歴史の中で、少しずつ変化し続けたものでもあります。
“ただの楽器”としてではなく、
色々な側面から知ることで、
もっともっと視野が広がっていくはず。
だから、このイベントに参加するために、
“ピアノを習っている”必要はありません。
大げさと思われるかもしれませんが、
子供達に未来を託すための、僕なりの行動のひとつです。
音楽教育チャンネル「小学生のための楽典シリーズ」新作を公開しました
「楽典」は、楽譜の理論を学ぶ学習です。
動画教材では、楽譜のしくみを小学生にも理解してもらえるよう、
噛み砕いて解説しました。
ピアニストチャンネルも随時更新中です!/ニューシネマパラダイス「愛のテーマ」を弾きました
1988年のイタリア映画「ニューシネマパラダイス」
から「愛のテーマ」を弾いてみました。
実はこの曲には歌詞が付いているのをご存知でしたか?
僕は、あるテノール歌手の方のコンサートで伴奏をした時に、
初めてこの曲と出会いました。
映画との出会いもこれがきっかけ。
当時、DVDを買ったはずなのに、、、どこかにいってしまいました。
今回久しぶりにこの曲を弾いて、久しぶりに映画を見たくなりました。
それにしても、切ない雰囲気の曲。
モリコーネ(作曲家)、最高ですね!!
「さくらさくらの狂想曲」楽譜、ダウンロード配信
僕が小6の頃から作り始め、
ピアニストになってから人前で弾くようになった曲、
「さくらさくらの狂想曲」
の楽譜を、ダウンロード配信しています。
■楽譜ダウンロードページ
▶︎楽譜購入方法等のガイド
https://www.youtube.com/watch?v=3JENNT02Oqc
「野口幸太ピアノ教室」募集状況
日吉、綱島地区のピアノ教室です。
長期にわたり、新規生徒様のお迎え入れを停止しておりましたが、
平日夜枠、また木曜に若干のレッスン枠ができました。(野口クラスのみ)
【2019年5月23日時点】
※月曜日の久保田クラスに関しては、現在もお迎え入れを停止中です。