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2018.7.6ブログ

“ストイック”をやってみる


■共演させて頂いたベテランのジャズピアニストさん。
いわゆる“アドリブ演奏”ってやつに強く憧れる僕からの質問、
「どういう勉強をされたんですか?」

「いや勉強っていうかさ〜、
好きなメロディー、気に入ったフレーズ、
何べんも身体にしみ込むまで弾きまくっただけだな。
それ繰り返してただけ〜ぇ。ははははっ!!」


■そのコンサートで、司会者としていらしたベテランの有名女性アナウンサーさん。
客席の雰囲気に応じて自在にあやつる言葉の数々。
その言葉のマジックで音楽にどんどん惹きこまれていくお客様の様子。
演奏しながら喋ることも多い僕としてはやっぱり伺いたい。
「本番を迎えられるに当たって、どんな準備をされるんですか。」と、

「とにかく、言葉を声に出すの。
頭の中だけじゃダメ!出さないといけない。
それをやっているうちに、言葉が身体に染み込んで自分のものになる。
そこまでやっておくと、質の高い“咄嗟のひとこと”が出てくることがあるの。」


■どちらの答えも、わざわざ訊かなくたって知っていたはずのものでした。
僕はあまり要領は良くなく、練習は下手くそですが、いつまででもピアノの前に座っていられる才能がありました。
ちょっとMっ気が混じっている??とも言えるかもしれませんが(笑)、、、
「自分に課す」みたいな状況をやり遂げることで、満足感・達成感を得ようとする、“ストイックごっこ”です。笑

そのピークが32〜34歳にかけて毎年自分に課していた、自主開催リサイタルだったかな。と思います。
文字通り、あの時はけっこう禁欲的でしたよ。笑
ピ〜ア〜ノ〜の〜ため〜なら〜エンヤ〜こら〜♪
なんてね。
実際、そのおかげで身についたものは沢山ありました。
ただし、ストイックばかりが良いことではないんだな。という逆の学びもあったんですね。
多分、この頃の僕は「ピアノを弾くこと自体」が人生の目標であり目的なんだ!
という風に妄信&猛進していましたから、けっこうヤバめな人間だったかも。(笑)
「ピアノを弾くことは手段のひとつだ!」
ってことに気が付き始めてから、ガチガチの固結び状態だったものが少しずつほどけていき、色んな物事が見えるようになってきて、興味対象も増えていき、出来ることはどんどんトライしていって。
と、この数年の流れはこんな感じだったと思います。

そんな中、上記お二方の言葉を聞いて、ふと思いました。
「また、ストイック(風?)なことをやってみたい。」って。
本番のためのピアノじゃなく、上手くなりたいためのピアノでもない、
ただ弾くだけで満足するためのピアノの時間。

■まずは、最近ちょっと気になっていた清塚信也さんの「BRIGHTNESS」の楽譜をゲットする。
3分弱の曲を延々と繰り返し、繰り返し、繰り返し、ただひたすら弾く。
目標はとりあえず【100回】ってことにして。。。。
・【10回目】あたりからだんだんスムーズに弾けるようになってきて楽しくなってくる。
・【20回目】あたりから、余分な力が抜けた状態で弾けるようになってくる、、と同時に「目標100回は無謀だったか!?」とも気付き始める。笑
・【25回目】あたりから腕の限界が見え始めてくる。
・【30回目】もー無理だっ!!
ここまでで約90分。
90分弾いた時点で、どのくらい自分のモノになったか確かめてみたくなる。
ただ一人で弾くだけでは測れないので、公開を前提とした動画撮影をしてみる。
→とたんに心と身体が硬くなる。笑
変な力みによる指のもつれ多発によりテイク1失敗。
同じようなことが何度か続き、なるほど90分弾いただけではまだまだ自分のものにはならない。という結論にいたる。
一番マシな出来のテイクをUPすることにする。
結局のところ弾き続けた時間は2時間くらい。

野口 幸太さんの投稿 2018年7月6日金曜日

おかしな行動とも思われそうですし、実際ふつーじゃないかもしれませんが、、、、
自分の音楽の原点を少し思い出しておくためにも、必要な2時間だったんだろうな。と思います。
午後の仕事も頑張ります♪

▼▼▼
それにしても実際は30回しか弾けなかったモノに対して、設定した目標が100回だったなんて、、、
我ながら、自分の見積もりの甘さには呆れてしまうわ〜〜〜。。。