ピアニスト野口幸太Officialwebsite

menu
close

体験レッスン受付中です。その他レッスンに関するご質問などお気軽にお問い合わせください。

Blog ブログ

2020.6.4ピアノ教室

「残す」をイメージする/高額楽器を買った理由

おはようございます。
音楽家の野口幸太です。

だんだんと夏に向かって気温が上がってきた感じがします。
レッスン室でも冷房をかける時間が長くなってきたのですが、
そうするとピアノの音にも割とすぐに影響がでますね。
やはり、ピアノは木の精密機械、気温、湿度などの変化にも敏感に反応してくれるようです。



ボクの教室のメインのレッスン室で使っているピアノは、
KAWAI(カワイ)というメーカーの「Shigeru Kawaim(SK)シリーズ」と呼ばれるもので、このメーカーの中での高級ランクに位置付けられてるモデルです。

値段だけを見るならば、もちろん上には上がありますが、
曲がりなりにも色々なピアノを弾いてきた経験のあるボクが弾いてみても、これはやっぱり「いいピアノだ」と言えると思います。

▼そういえば、人気のピアノ系ユーチューバーのフォルテ君が、このピアノのことを紹介してました。




やはりボクにとっては大きな買い物で、実際、ちょっとムリをして買いました。
今もローンを払っています。

それまでは「新しい楽器を購入する」というのは夢のような話で、
それがリアルなことになるイメージはほとんど持っていませんでした。
それがどうして突然、購入を決めたかというと、その理由がこの記事のタイトルです

「残すこと」のイメージ。

ボクは割と小さな子供のうちから、
母親から「うちはお金を残すことはムリだけど、教育をあんたに残すから。」
と言われながら育っていきました。

当時は、それがどういうことなのかあまりよく理解していなかったのですが、
とりあえずボクが大学院を修了するまでの間は、
ボクが勉強したいもの、見たり、聞いたり、行ってみたいと「言ったもの」に関しては、
全て実現させてもらいました。

その分、ずーっとお金のない家ではあったし、
母親の宣言通り、残ったお金はほとんどないけれど、
その時代にボクが経験させてもらったことの全てが、
ボクの中にきちんと残っているんだと思います。

そして何より、この年齢(39歳)になった今でも、
これを知りたい!見てみたい!と心底で思うものは、
あまり迷うことなく飛び込んでみるクセが染み付いています。

これはまずボクにその土壌を用意してくれた母親、
それからボクにいろいろな知識、経験を授けてくださった先生方を含む諸先輩方から残してもらったもの。
と思っています。

▶︎資産という言葉がありますが、この資産の定義を「自分が死んでまでも残るもの」と話す人がいます。

その観点で言うならば、諸先輩方がボクに残してくださったモノは、
彼らが死んでしまった後にも、ボクの中には残り続けるので、これは資産といういことになります。
(バリのアニキ・・・こと、丸尾孝俊さん

ボク自身も、延々と若くいられるツモリでいたけれど、
ここ最近は少しずつ心の中に変化がおこってきているのを自覚しはじめてきました。

日常の会話の中でも、
「油断してたら、人生なんてあっという間に終わってしまうんだよね。」
とか、
「ダラダラゆっくりしたけりゃ死んでからすりゃイイじゃん!」
とか話してる自分がいたりする(笑)

そして、自分の成長願望、欲求だけのために
勉強したり、働いたり、何かしらの行動をとって頑張ったことが活かされるのは、
自分が生きている間の、ほんのちょっとの時間の中だけでしかない。

これは果たして「豊か」と言えるだろうか・・・

・・・だからボクがお金や時間、労力を費やすかどうかの判断材料は、
それが未来に「残す」ことに繋がるかどうか、です。
物理的にもマインド的にも・・・

1年半前に購入した高級ピアノもその観点からの買い物でした。

高級品とされるのには、それ相応のバックボーンがあります。
わかり易い例だとまず、材質、組み立て、製作にかけた年数、、、、

でもホントはそれだけじゃないですよね。
高級品を「高級品です!」と言って販売出来るのは、
その販売元が長い期間をかけて培ってきた信用力があるからだったりもする。

更には、ただ作っただけじゃなくて、作ったことを知らせてくれた人たち、
購入をする際のややこしい手続きを手伝ってくれる人たち・・・
とにかく色んな人の思いと、仕事、かけた年数の集大として、
今このレッスン室に、一台のピアノが残っているんです。

しかも!
そんな高級楽器の購入するための資金を回してくださっているのは、
他でもない教室の生徒さんたち。
それからボクが仕事を通して関わり合いを持ってくださっている方々なわけです。

ボクがよくこの楽器のことを共有物と言っているのは、そういう観点からです。

ノーマルな楽器よりもちょっとだけ、人の思いと手が込められて作られたこの楽器に触れていきながら、
生徒さんたちとの経験を残していくことが出来たら最高ですね♪

そして、数十年後、ボクがこのピアノを使えなくなる時が必ず来るわけですが、
その時、どういう形でこの楽器を後に残すことが出来るか、
イメージするだけでちょっとワクワクしたりもするわけです♪

というわけで、今日は「残すこと」というテーマについて書いてみました。

今日もごきげんな1日を♪


━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆本日の動画【アメイジング・グレイス】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

作詞者はドン・ニュートン。
奴隷貿易に携わっていた彼が、航海中の大きな出来事によって心を改め書いた詞。
詳しいストーリーはwikipediaにて。




━━━━━━━━━━━
野口幸太プロフィール♪
━━━━━━━━━━━

歌が好きで、出かけ先の飲食店で有線がかかるとmyマイクを取り出して熱唱するような幼児だったとのこと。(お気に入りの歌は「氷雨」)

幼稚園の先生がピアノの弾く様子を真似し始めたのがピアノとの出会い。
その十数年後、武蔵野音楽大学、大学院でピアノを専攻する。

20代そこそこのキャリアで運良く、世界的プリマドンナ、E.オブラスツォワ氏の伴奏者として共演させて頂いたり、同志で立ち上げたオペラグループ「labo opera絨毯座」の公演が、「サントリー音楽財団(現芸術財団)第8回佐治敬三賞」を受賞するなど、運の良いキャリア経験を積むことができた。

「音楽で人に役に立つこと」を信条に、ピアニスト、音楽教育家、音楽イベンターとして活動を行なっていつつ、
横浜市港北区日吉・綱島地区でピアノ教室を主宰している。


▶︎野口幸太ピアノ教室の概要はこちらから。
【野口幸太ピアノ教室】【野口幸太ピアノ教室】
・発達障害の診断をもつ子へのレッスン、オンラインレッスンにも対応。