ピアニスト野口幸太Officialwebsite

menu
close

体験レッスン受付中です。その他レッスンに関するご質問などお気軽にお問い合わせください。

Blog ブログ

2018.4.7ピアノ教室

調性を巡る旅/音階と調性のレッスン一例

少なくとも僕が子供の時に受けてきたレッスンでは、各調の調号を覚えさせられ、
ト長調だったらファが♯、ニ長調ならファとドが♯、へ長調はシが♭。
というような具合で、次々と弾く練習をする。
というのが定番だったかと思います。
「ファドソレラミシ」「シミラレソドファ」などと、シャープやフラットが付く音の順番を、九九を覚えるようにして呪文にように唱えながら練習をしたものです。
でも、音階が出来上がる「仕組み」を知ったのはそれからず〜〜っと後になってからのことでした。
もっと早くに知りたかったです。

今でも、ほとんどの教則本がこの「とりあえず覚えましょうスタイル」で展開されていますし、
僕自身も状況に応じてこのスタイルで教えることもあります。
ですが、やっぱりその仕組みも理解して欲しい。きっと、その方が音楽の世界を自分で探検出来るようになっていくから。
だから、時期を見計らって「調性を巡る旅」を計画します。

▼旅の条件
・小学生以上であること。
(今のところ、僕のレッスン技術ではどんなに早い年齢からレッスンを始めている子供でも、幼児期のうちに連れ出すと迷子にさせてしまいそう。)
・全音と半音の区別が瞬時に着くようになっていること。
・ハ長調の音階を単音で弾けるようになっていること。(左手:4321→右手:1234の指使いでOK。)
・♯と♭を“一応は”知っていること。

▼旅の準備〜テトラコードってなに?
「ドレミファソラシド」の音階は、全部で音が8個並んでるけど、
本当は「ドレミファ」と「ソラシド」の4つずつに分けて考えるんだよ〜。
(ほとんどの場合、この時点で子供は??状態の表情になる。)

→ここから旅の出発駅「テトラコード」に向けて歩き出す。
・「テトラ」は「4」の意味で、「コード」は「弦」の意味であること。
・4つの音が「全音・全音・半音」の関係で並んでいたギターのような楽器のことを「テトラコード」と呼んでいたこと。
・そこから転じて、この音程関係で並んでいる4音自体をテトラコードと呼ぶようになったこと。
・この「テトラコード」が2つ合わさって、初めて「音階」が出来上がるということ。
・更に2つのテトラコードを結んでいる真ん中の2音は「全音」で繋がっているということ。(下の表参照)

以上を、言葉を選びつつ丁寧に説明をしていけば、小学校低学年の子にもきちんと理解してもらえます。
(ただし、1回のレッスンで到達出来る場合と、2〜4回程度要する場合とがある。)

▼最初の目的地〜ハ長調からト長調へ
早速、ドの音から順番にシールを貼って行きながら、2つのテトラコードを作っていきます。
シールが貼れたら、表に音の名前も書いておく。
よっし、これで音階が出来上がったんじゃない?弾いて確かめてみよー!


・・・うん!!ちゃんと音階になってる。
やったね!!
と、音階の仕組みがちょっとだけ理解出来たところで、すぐに次の目的地(ト長調)へ♪

今はハ長調の音階を作ってみたけれど、同じやり方でもっと色々な調の音階を作って行けるんだよ。
ほいじゃ、行ってみよーーー!!!

今度はね、ハ長調の時に“テトラコード2”だった「ソラシド」の音を、そのままそっくり“テトラコード1”に移動させてごらん。
→新しいプリントの「テトラコード1」の欄に「ソラシド」と書き込み、「テトラコード2」の欄には続きの音「レミファソ」を書きます。
さあ、これで音階になったかな?
音階にするにはテトラコードが2つ必要だったけど、このままで大丈夫かな。
・・・なんてわざとらしい話をしなくても、だいたい子供は気づきます。
「ファの音がダメ!!」って。笑

ほ〜〜じゃあ、どうすればいいかね?
・・・・・あっ!!「ファを♯」にすればいいんだ!!
お見事!!


教師の付き添いは、ひとまずここまで。
子供はこのあとしばらく、ひとり旅を楽しめるようになります。
ト長調の次はニ長調、その次はイ長調。といった具合に。



▼緊急事態!!〜ミの♯はない!?
調性を巡るひとり旅は順調に進み、「ファの♯」から始まる調に辿り着きました。
しかしなにやら困っている様子。
こっそりプリントを覗き込んでみると、
「テトラコード2」の3つ目の音が空欄になっている。
というより、「ミ♯」と「ファ」と交互に書いては消した跡が残っています。
話を聞いて見ると、彼の言い分はこう、
「ミの音を半音上げないとテトラコードにならない。なのに、ミの音にはシャープはないから書けないんだ。」
「鍵盤はファの位置だけど、“ファ”と書いてしまったら、“ファ♯・ソ♯・ラ♯・シ・ド♯・レ♯・ファ・ファ♯”って、同じ名前の音が2つ出てくる変な音階になる。」
「だからこれは、音はあるけど、楽譜には書けない幻の調なんだ。」
と。
ーーーーーーー
これ、子供に限らず、昔ピアノをやっていた大人の生徒さんにも非常に多く見られることなのですが、
彼もまた【シャープの音=黒鍵】と、思い込んでいるんです。

「幻の調」とはかなりおもしろい発想なので、しばらくはそのままにしておいても良かったのですが、
あまりにも腑に落ちない表情をしているのでヒントを1つ。
・・・シャープって、音の高さを半音上げる記号だったね〜〜。
「・・・・。」
ピアノの鍵盤では、“すぐとなり”の鍵盤が“半音”だったね〜〜〜。
「・・・・。」

「おおおっ!!ミのシャープはファだーーっ!!!」
「それ、アリなんだーー!!」
うん。ありだよ、あり。
ということで、問題解決。
ついでに“異名同音”の実例を体験を通して学ぶことができました。
ここで新たに「嬰」という「♯」を表す表記を習い、嬰へ長調の表が完成。


この嬰へ長調をクリアすれば次の嬰ハ長調はなんの問題もなく完成させられます。
さて、この彼、次回のレッスンできっと「嬰ト長調は存在するのか問題」に遭遇するはずなのですが、
調性を巡っていく好奇心に目醒めている今だったら大丈夫そう。
きっと解決の糸口を見つけられることでしょう♪