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2019.3.20ブログ

アンサンブルが楽しいワケ



週末に控えて居る「ステップコンサート」の本番に向けて、着々と準備が整ってきています。
先日、無事に本番のホールでの導線確認を含めた稽古を終えて、あとはスタジオでの通しをするだけ。



■今回のコンサートの楽器編成は、
サックス、チェロ、パーカッション、ピアノという組み合わせの中に、歌が加わるというものです。
今思えば、この編成でやること自体が、そもそもチャレンジングなことでした。
おそらく、通常のクラシカルな現場でこの編成をやる人はいないと思います。
一番の理由は、その音量バランス。

▶︎(ちょっと語弊はあるのですが)サックスは基本的に音が大きい。
▶︎パーカッションもまた同様に、総じて大きい。
▶︎対して、上記二つと比較した場合、チェロの音量は小さく、また音質的にも、パッとと浮き立ちづらい特性がある。
(それこそが、チェロの旨味に繋がることでもある。)
ちなみに、ピアノの場合はそこまで大きな音が出る楽器とは思わないけれど、
少なくともサックスにかき消されてしまうほど小さくはない。
■それぞれの楽器の良し悪しの話ではなく、
あくまで音量バランスという観点で考えた時に、
クラシック音楽のアンサンブルとしては、ちょっとやりづらい編成だと言えます。



実際、編曲を始めて見ると、やっぱりチェロの扱いえ悩むこと多数。
そして、いざ音を鳴らしてみると、やっぱり課題が色々と表沙汰になってくる。
音の勢いが強い楽器群の中で、チェロの良さがなかなか引き立ってこないんですね。

■じゃあ、他の楽器の人たちが小さい音で演奏して、
チェロの音を聞こえやすくすればいい??
これも、アプローチとしてはYESのようでいてNOです。
表面の音量をただコントロールするだけでは、たぶん、おもしろい演奏体験は出来ない。

で、いつも思い出すんです。
「あっ!!そうだ、コミュニケーションしよう!」

■僕はアンサンブルはコミュニケーションそのものだと思っています。

辞書的には【意思の疎通、心の通い合い】とも説明される「コミュニケーション」。
語源はラテン語で「分かち合う」を意味するのだそうです。

▶︎つまり、どちらかが一方的に伝えようとするものではないし、
どんなに的確でうまい言葉を並べたとしても、
大前提として、「通い合わせる」という精神が流れてないと、
コミュニケーションは成立しません。

それって、ただ音量やテンポのコントロールをするだけでは、アンサンブルとは言えない。
というのと同じことです。
ただし、これは僕の持論であって、
しかも、アンサンブルの定義を議論することに労力をつぎ込みたいわけじゃない。

大事なのは、僕自身が何をやりたいか!ってことです。
演奏することは好きだけど、演奏であれば何でもOKというワケじゃない。

僕が演奏(アンサンブル)を面白がってやっている時の様子を、
敢えて言語化して説明するとしたら、だいたいこんな感じです。

・自分とは別の人が、別の楽器の全く違う音色で、違うパートを演奏している。
・そんな状況にあるのに、作ろうとしているのは同じ一つの音楽。
・じゃあ、この人たちと、この音楽の何を大事にして、どう分かち合いたい?
・音を通い合わせるために、何ができる?

僕は弾きながらこんなことに意識を巡らせていられる時は、
やっぱり楽しんでるんです。



アンサンブルメンバー
ヴォーカル:廣瀬史佳さん
サックス:藤田美斗里さん
チェロ:原悠一さん
パーカッション:日比野慎也さん
ピアノ:ぼく



■で、今回のチェロとのアンサンブルの話。
なかなか表に浮き立ってきづらい、チェロの音。
それはもちろん、楽器自体の音量バランスの問題も大きいけれど、
でも、本当はもっと大事な要因があったんです。

それは、相手の声を聞くこと。

聞こえてこないから、聞かないんじゃない。
聞こえてこないから、叫ぶことを強要するんじゃない。
埋もれそうになってしまっているチェロの音をキャッチする。
そしてその音の向こうに、チェリストの存在を確認し、その存在に心を向けてみる。

すると、今まではきちんと感じ取れていなかったけど、
実にたくさんのことを表現し、伝えようとしている奏者の姿に気がつかされ、
もっと聞いてみようと思い始める。

そして今度は、こっちから何か投げかけてみよう!
と、キャッチボールが始まっていく。

実は、そんなことをしていると、音量のバランスやら、テンポの云々なんていうのは、
知らないうちに整っていくものなんですよ。

会話と一緒。
聞こうと思うから聞こえてくる、
理解しようと思うから、わかってくる、
楽しみたいと思うから楽しい会話が生まれる。

こうして、お互いの音楽が一瞬でも通じ合った瞬間の僕の心の中は、
もうキャピキャピ!なわけです(笑)
超〜〜楽しい♪ってね。

そしてやっぱり実感するのです。
アンサンブルはコミュニケーション!!ってね。


(体験チェロ講座をしてもらった。)

このチーム、あと一回の通し稽古を経て、本番を迎えようとしています。
なんかいい具合になってきました!
ここから本番までの数日間の過程が、一番楽しくなっていく♪

【告知動画】のメンバーごと篇をダイジェストにしました。






3月24日「ステップコンサート」詳細








2019年3月24日 14時開演
会場:中央工学校 ステップホール
(「王子駅」より徒歩5分)

「STEP QUINTET」
〜第29回ステップコンサートのために特別に結成した五重奏団。
音楽大学を卒業し、本格的クラシック音楽を演奏するための技を身につけた五人が、
ジャンルの境界線を超え、“いま演奏したい曲”を集め贈ります。
ステップコンサートだからこそ実現可能な楽器編成、プログラムに挑みます!
おたのしみに!!


■出演
野口幸太(ピアノ)、原悠一(チェロ)、日比野慎也(パーカッション/ドラム)、廣瀬史佳(ヴォーカル)、藤田美斗里(サクソフォン)

全席自由:2,500円

主催:クラシック応援団



スライドショー!「グラマラスナイト」(2月16日)





2月16日に開催した「THE GLAMOROUS NIGHT(ザ・グラマラス・ナイト)」の舞台写真を、本番の音源に乗せてスライドショーにしました。
写真撮影はauraY2の深谷義宣さんです。

ソプラノ:川越塔子、西本真子
テノール:鈴木俊介
バリトン:井出壮志朗
ピアノ:野口幸太(MC)、織井香衣、谷川瑠美

■スタッフ
企画・統括: 横山修司
制作・マネージメント: 野口幸太(AtoK labo)
制作協力: 福永綾子(ナヤ・コレクティブ)
ステージ・ディレクション: 清水龍之介
楽曲アレンジ: 野口幸太、織井香衣、谷川瑠美
主催:GLAMOROUS NIGHT project

■演奏曲目
•アイヴァー・ノヴェロ:
「Glamorous Night」よりGlamorous Night、Fold Your Wings
「The Dancing years」よりWaltz of My Heart
「Perchance to dream」よりWe’ll Gather Lilacs
•ロバート・ライト:
「KISMET」よりAnd This is My Beloved
•フレデリック:ロウ:
「My Fair Lady」よりShow Me
•エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト:
「Die Stumme Serenade」よりSerenade、Shönste Nacht
•ミッシェル・ルグラン:
「Le demoiselles de Rochefort」よりChanson des jumelles
•クルト・ヴァイル:
「Marie Galante」よりJ’attends un navire、Le Roi d’Aquitaine
「Street Scene」よりLonely House
•アンドレ・プレヴィン:
「A Streetcar named desire」よりI want magic!



「野口幸太ピアノ教室」募集状況





ただいまのところ、代表講師である野口クラス、及び今年から開講した月曜担当講師の久保田クラス、共に募集を停止しております。
新たに募集を開始する場合は、当ブログに於いてもご案内をさせていただきます。