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2018.7.18ブログ

山田耕筰の映画が公開だって!!



まずはこちらをご覧ください!!
↓ ↓ ↓ 

日本歌曲の黄金コンビ「山田耕筰×北原白秋」の映画が公開されるようです!!!
この特報ムービーを見るだけで大げさでなく鳥肌&涙が流れてきてしまう僕。
(映画「この道」ウェブサイト)
何を隠そう、
まさに僕の大学院(修士)時代の研究テーマそのものなんですよーーーっ!!
冒頭の画像がその論文です。(押入れの奥から引っ張り出してきました。笑)
「山田耕筰の歌曲創作」としつつも、中心的な題材として「AIYANの歌」という5曲からなる歌曲集を選びました。

ーーAIYANの歌
北原白秋の故郷、柳川の様々な風情を詩った「柳河風俗詩」(詩集「思ひ出」所載)の中から、山田耕筰が5篇の詩を選んで作曲した。
5篇の詩の主人公はいずれも柳川に住む女性。白秋が実際に接したことのある人物たちなのかどうか・・・
歌曲集を順番に聞いていくと、まるでオムニバス形式の映画を観ているようなストーリー性と、それぞれが微妙に関連し合っているようなところがちょっと面白い。
※AIYAN(あいやん)=柳河方言で「下女」「子守女」のこと。


はじめに北原白秋が書いた詩、言葉、行、句読点などの扱いを解析し、それらを耕作がいかに音楽に反映させていったのかを、ひとつひとつ検証していきました。
あれから15年、、、、今この論文を読み返して見ると、恥ずかしいくらい荒削りな文面・・・・。若い。。。
まだ大学の図書館にも保管されているのだとしたら、今すぐにでも処分してもらいたいくらいなのですが。。。。
「耕筰&白秋サイコーー!!」
という熱い想いが全面に出(過ぎ)ている若さ溢れる論文です。笑

そんなイケイケな論文を書き終わってからも、何度か山田耕筰をテーマにしたプログラムの演奏をしてきました。

▼20代の頃(ソプラノの佐藤篤子さんと一緒に。)

※画像はこちらのブログから拝借。

▼つい数年前(ソプラノの西本真子さんと一緒に。)

耕筰プログラム、いつかまたやりたい!!

耕作はとにかく「言葉(詩)から生まれる音楽。」ということを徹底的に追求し続け、本当にたくさんの名曲を世に送り出した作曲家です。
また、彼の面白いところは、作曲家としてだけではなく音楽事業家として「日本という国でクラシック音楽をいかに発展させるか。」と生涯に渡り尽力し続けた人物でもあることです。
一時は「山田耕筰」の名が新聞に載らない日はなかった。というくらい強い影響力を持っていたのだと。
そういう観点から見ても、山田耕筰という人物はとても興味深いのです。

さて、この映画。
予告動画の中では「2019年1月」の公開となっていますね。
どんな風に描かれるのかはわかりませんが、僕としては「耕作&白秋」のことが映画になる!!っていうだけで、とっても嬉しいのです♪

■ちょっとご紹介

▼山田耕筰の初の伝記
「作るのではなく生む〜山田耕筰」 後藤暢子 著


これまでも、耕筰本人が若い頃のことだけ書いた自伝と、没後にまとめられた評伝はありましたが、一次資料に基づき、客観性をもってまとめられた「伝記」の誕生が待たれていました。
2014年夏、「山田耕筰作品全集」「山田耕筰著作全集」の編集責任者であり、山田耕筰研究の第一人者である後藤暢子先生がまとめ上げられた待望の一冊です。


▼山田耕筰も含めた明治以降の日本の歌の発展のプロセスが超わかりやすくまとめられている
「自分の歌を探す〜西洋の音楽と日本の歌」 秋岡陽 著



僕の論文指導をして下さった秋岡陽先生(現フェリス女学院大学学長)の著作です。
僕が初めて山田耕筰の仕事について調べる時に読んだ本で、歌曲作曲家としての山田耕筰がいったいどういう点で画期的だったのか。ということを、音楽的知識がなくても理解できる様にまとめて下さっています。
僕は多分、初めて読んだのがこの本だったから、山田耕筰のことをもっと深く知っていきたい。と強く思えたのだと思います。

▼画像左下2人の名前に注目!!白秋の故郷、水郷柳川の掘割がいかに作られ、いかに守られたかに迫るドキュメンタリー 「柳川掘割物語」 高畑勲 監督/宮崎駿 製作


僕がテーマに扱った歌曲は白秋の故郷である柳川が舞台になっているものだったので、その地域の風土についての知識が必要不可欠でした。
そんな中見つけたのがこのドキュメンタリー映画。
柳川という地域にどうして掘割が必要だったのか、それがどのように使われ、廃れ、そして守られてきたのか。当時、柳川まで出かけるだけの費用がなかった僕にとって、大変ありがたい資料でした。
まさかこの二人による作品だったとは、購入してから気づきました。