ピアノ初心者が性能を見分け、自分に相応しい楽器を見極めるのは難しいと思います。
必要な物が、必要としてる人の手元に届くことを想って、真剣にレビューしました。
CASIO(Privia PX-S1100)、KAWAI(電子ピアノES-120 Filo)共に、音色を変える機能があります。
しかし今回は「初期設定されている音色が、それぞれの楽器のスタンダードであろう。」という観点から、操作はしませんでした。
なお、今回の撮影にあたって、3日間、ジャンル問わず、初級から上級までの様々な曲を弾き込みました。
✅音色
CASIO
・一音ずつの音色は綺麗に鳴りますが、複数の音を同時に鳴らす和音では、一音一音が全体の響きの中に埋もれて、浮き立ちづらい傾向がありました。
・低音を強く弾いた際、響きの豊かさに少し欠けるように感じました。倍音の含みが少ないのかもしれません。
・ポップスやジャズっぽい曲を楽しむにはうってつけで、オシャレに加工された音色が弾き手をワクワクさせます。
KAWAI
・一音だけ鳴らした際の印象としては普通です。ただし安定しています。音域、強弱、同時発音数の違いに関わらず、普通ラインで安定している素晴らしさです。
・グランドピアノと全く一緒とは言いませんが、その方向を目指していることは十分に感じます。生ピアノっぽさを擬似的に体験できると言えます。
✅ペダル
このタイプのペダルが滑るのは、よくあることです。
(CASIOの滑り止め性能には驚きました。)
滑って困る場合は、100均などで売っている滑り止めや、テープなどを活用するといいでしょう。
✅タッチ
CASIO
初級の曲を練習するには十分です。
ブルグミュラーでは、動きの速い曲や、微妙なタッチコントロールを要する曲において演奏の困難さを感じました。
ほんの僅かなタッチ差で、音が飛び出すように大きく発音されることもあります。ただ、そういった偶発的な音色を、即興性のものとして楽しめるJAZZのような音楽を演奏する場合、おもしろそうだとも思いました。
KAWAI
鍵盤の上下どの位置で打鍵しても発音タイミングにほとんどズレが生じることなく、コントロールがしやすかったです。
ショパンの「子犬のワルツ」「幻想即興曲」「バラード1番」などの中級から上級の曲も、練習用としては使え得る楽器と判断しました。ただし、それにあたって特別な工夫や心構えは必要です。