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2020.5.30ピアノ教室

「楽しいレッスン」を創り出す方法とは・・・

おはようございます。
音楽家の野口幸太です。

今日はちょっとだけ“カタめ”の言葉を紹介するところから始めてみようかと思います。

「作用・反作用」という言葉、ありますよね。
押したら押し返されるという双方向にはたらく力のことで、
力学(物理学)的な視点で説明される言葉ですが、
これを「音楽の力」に当てはめて考えることも出来ます。

例えば、音楽学者の久保田慶一さんは、「音楽の力」について、
【演奏者の演奏力と、
聴く側の“音楽”を“音楽”として認知し、それに対して知的にアプローチする力、
両者がが釣り合った時に「楽しい」が発生する。】
という主旨のことを、書かれていました。



つまり、これも演奏する側と聴く側の力が双方向で働いている状態、、、要するに【作用・反作用】の話です。


今回、僕がこの記事でいちばんのトピックとしたいのは、
押す側が、押し返さなくてはならない側の反作用力(#←野口の造語・・・こんな言葉あるの?)を、
いかに正確に見積もることが出来るか・・・です。

▶︎例えば、発泡スチロールという素材で出来た壁があったとして、
その壁にボーリングの玉をおもいっきり投げつけたとしたら?

▶︎逆に、世界で一番頑丈に作られた鉄壁の壁があったとして、
その壁に対して、発泡スチロール製の軽〜いボール(#100均に売ってるよ)を勢いよく投げつけてみたとしたら?

いずれの場合も、力学的な意味での反作用を起こすのはほぼ不可能だよね。

この状態を、別の言葉で説明するならば、
アクションを取る側が、相手のリアクション力を無視してボールを投げてる状態だ。
ということです。

じゃあ、この考え方を教育現場に適用した場合のことを書いてみますね。
作用する側が教師だとして、反作用する側を子供の生徒だとします。

まず、大前提として教師側が認識しておかなくてはならないのは、
ほとんどのまっとうな子供達は、
教師がどんな玉を投げても、いったんは受け取ったふりをするよ!
ってことです。
(#ある程度の自我を持ちはじめた子たちね)

無理な玉を無理!!って言える子は、本当にあっぱれ!
だけど、多くの子たちは違います。
どんなに重たい玉、速い玉、めちゃくちゃなタイミングで投げられた玉でも、
教師という大人の前では、
「ちゃんと捕れたよ。」という表情を一生懸命つくろうとする。
・・・なんてけなげで、いじらしい子たち。
彼らには全く罪はない。

罪深いのは、もちろん、【投げた】と【伝えた】を同義語のように捉えてしまっている教師の方です。
「あれだけ同じことを言ったのに!」と嘆く前に、
相手の反作用力をどれだけ正確に見積もろうとしたかを、冷静に振り返り分析するべきだと思うのです。

そして、レッスンでの「作用・反作用」のバランスがうまく釣り合った時、
これは「なんかわかんないけど、楽しい」という感覚的な信号で表面化してきます。

だから結局のところ、最終的には自分の感覚が頼りになるけれど、そのためには理性的な分析も必要だよね。
という話です。

というわけで今回は「作用・反作用」という観点から「楽しいレッスンを創るための方法」についてまとめてみました。


■今日の動画

「カヴァレリア・ルスティカーナ」というオペラの中で、楽器だけで演奏される部分(間奏曲)。
【THE・祈り】です。
今日も、素敵な1日を♪



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野口幸太プロフィール♪
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歌が好きで、出かけ先の飲食店で有線がかかるとmyマイクを取り出して熱唱するような幼児だったとのこと。(お気に入りの歌は「氷雨」)

幼稚園の先生がピアノの弾く様子を真似し始めたのがピアノとの出会い。
その十数年後、武蔵野音楽大学、大学院でピアノを専攻する。

20代そこそこのキャリアで運良く、世界的プリマドンナ、E.オブラスツォワ氏の伴奏者として共演させて頂いたり、同志で立ち上げたオペラグループ「labo opera絨毯座」の公演が、「サントリー音楽財団(現芸術財団)第8回佐治敬三賞」を受賞するなど、運の良いキャリア経験を積むことができた。

「音楽で人に役に立つこと」を信条に、ピアニスト、音楽教育家、音楽イベンターとして活動を行なっていつつ、
横浜市港北区日吉・綱島地区でピアノ教室を主宰している。


▶︎野口幸太ピアノ教室の概要はこちらから。
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・発達障害の診断をもつ子へのレッスン、オンラインレッスンにも対応。