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2019.4.12ピアノ教室

【発達障害・知的障害】等の診断名を持つ子への【レッスン法一例】として



■はじめに・・・・、
僕の教室では、特別な支援を必要とする子、、、
例えば、専門の医師から
自閉症スペクトラム、ダウン症候群、アスペルガー症候群などの診断がおりた子や、
或いはその可能性を示唆されている子も、教室のレッスン生として受け入れています。

ときどき、ピアノ教室を経営している友人や知人から、
「発達障害を持つ子には、どうやって教えればいいの?」
という質問をされることがあります。

そんな時、僕がやったことがあるレッスンの方法を思い出し、
それらを羅列することは出来るのですが、
自分で話しながら、こういうのってなんか違うよな〜〜とも思います。

実は、一番の方法論があるとしたら、このひとことです。
「“相手(生徒)は自分じゃない”ということを、理解すること。そして、それを徹底的に意識しておくこと。」
(あ、ふたことになっちゃった。。。)

■僕が簡単にわかることが、相手にとっては超難解なことかもしれない、
■逆に、僕には難しいことが、相手にはめっちゃ簡単なことかもしれない、

レッスンでのコミュニケーションを通して、
自分の違いをまず見つけ出していくところからスタート、
なんだと思います。

そのプロセスの中で、ぶつかり合ったり、
お互いのコミュニケーションのための突破口が見つからず、
レッスンを一時中断!ということも、少なくありません。
これはもう、傍目には、ほとんど戦いの世界です。

【ピアノのレッスン=優雅な世界】というイメージを持つ方も少なくないと思いますが、
少なくとも、僕の教室においては、そんな雰囲気は全く流れていないです。

さて、ここまで読んでくださったら、もうお気づきかと思いますが、
これって人付き合いがある以上、どういう人とでも行われることですよね。
結局のところ、「ピアノのレッスンをする」という点において、
診断名としての障害の有無で境界線が引けるものではないんです。


だから、これから紹介する一例も、
結果として障害有りと診断された子供に対して実施したレッスンだというだけで、
障害の有無自体がレッスン内容の判断基準になっているのではない。
ということを念頭に置いてください。


■冒頭の写真は、昨年、全音楽譜出版社から日本語版が発売されたばかりのテキストです。(アメリカ発のようです。)
子供がピアノを習い始めてから、ピアノに触るまで、
また楽譜の読み方を学び始める前段階が、
実に細かく細分化されていて、
究極のスモールステップ本!と僕は位置付けています。



その中の1ページ。
はい!こちら、


色んな数の四分音符群があちこちに書かれています。
▶︎おんぷの棒が上向き=右手で弾く
▶︎おんぷの棒が下向き=左手で弾く
と、定義づけています。

さらに、このページでは、
▶︎右手で奏するおんぷ群を赤丸で囲み、
▶︎左手で奏するおんぷ群を青丸で囲む。
というもう一つの課題も含まれています。

このテキストにおいては、
このあとの課題でもしばらくこの左右のルールが重要になっていくので、
この段階できちんと理解、習得しておく必要があります。
僕の場合は「習得」の定義は、
「わざわざ考えなくても、ほとんど反射的に出来るようになる」です。


日付の書き込みを見ておわかりの通り、
彼は、このページの課題に【3月6日】から取り組みはじめています。
そして【4月12日】現在、相当にイイところまで上達してきてますが、
まだ仕上がってはいません。

ではここで、この課題をこなすための要素を大まかに分析してみます。

■左右の意識
当然ですが、この課題をこなすためにはまず、
「右手と左手」の違いをしっかり身につけておく必要があります。
例えば、
▶︎右と言われたら右手を上げる、
▶︎左と言われたら左を上げる、
これが一瞬のうちに出来ること。

そんなこの「誰でも簡単に出来ること」なんて思ってはいけません。
実際に、これを習得するまでに数年がかりで訓練に取り組む人がいるんです。

■上下の違い
おんぷの玉に対して、棒が「上向き」なのか「下向き」なのかを瞬時に判断することです。
この時、「上」「下」という言葉の意味から理解させなくてはならないかもしれません。
▶︎おんぷの棒が、玉よりも高い方に伸びているのは「上向き」
▶︎おんぷの棒が、玉よりも低い方に伸びているのは「下向き」

これを、実際に書きながら、自分の口で言う練習をします。
おんぷを見た瞬間から実際に口に出るまで、3秒以上かかるようではNGです。
本当に瞬間で結び付くまで、延々繰り返します。

■一度出来るようになっても、次のレッスンの時には出来なくなっていることは当たり前だと思った方がいいでしょう。
だけど、経験上、完全にゼロに戻るなんてことはありません。
きちんと積み重なります。



■「上は右」、「下は左」のマッチング
左右、上下の違いが習得出来たら、いよいよ本題に取りかかることが出来ます。

まずは、僕が次々に書くおんぷを見て、
左右のどちらを使うのか言葉にして答える練習です。

やることはわかっていても、言葉で説明することが困難な子もいます。
そういう場合は、こんな補助をします。



やはり、これも瞬間的に答えられるようになるまで、繰り返します。
彼も、数十回これを繰り返したと思います。
最後には、補助のプリントなしで瞬間的に答えられるようになりました。

■色の認識
この課題には、
▶︎右は赤
▶︎左は青
という、もう一つの課題要素が含まれていますから、
そのための予備訓練も必要になります。

僕が次々に書くおんぷを見て、
▶︎赤で囲むべきか、 ▶︎青で囲むべきか
を、瞬時に答えられるようにするのです。

「左右」の時と同様、うまく言葉で説明出来ない場合は、
こういう補助をします。
そして、これを習得するまで繰り返すのです。




ちょっと大雑把な分析ではありますが、
1ページの課題をこなすために、これだけの要素があります。

でも実は、この課題をこなすために習得しなくてはならない要素が、一つ欠けているんです。
それは、書かれている「おんぷの個数分だけ弾く」ということです。

音楽には何かと「数の概念」が付きまとうのですが、
彼の場合、今身につけておきたいのは、
「おんぷを目で追う能力」
です。
■予め個数を数えておいて、その分だけ演奏すること、
■ピアノを弾いていない方の手の指で、おんぷを指しながら演奏すること、
この二つはもう出来るのです。

「おんぷを目でおいかける練習」これも色々なやり方が考えられますが、
肝心なのは、どのやり方が彼に良いかを探すことです。

相手は自分とは違う。
当たり前のことだけど、これをしっかり意識しておくことは、実はけっこう大事なことのようです。


書籍紹介





とは言え、全く土地勘のないところで、
地図もスマホもガイドブックも持たずに楽しく有意義な旅行をするのは、
なかなか難しいことかもしれません。

僕自身は大学院を出てからすぐに、
小学校の特別支援学級で補助員のアルバイトを始め、
そこでは合計8年勤務、
これと並行して、別の学級で音楽の授業を担当する教師(非常勤)のお仕事が始まり、
それも今年で7年目になります。

こうした経験の中で、とりわけ「教育」という点において、
発達障害の診断名を持っている子と、通常発達とされる子の間の境界線が、
自然と薄らいでいったのも事実かと思います。

ピアノ教室に限らず、発達障害等の診断を持つ人たちへの理解が広まっていくことを願っています。
その理解の一歩として、現役のピアノ教師の方がまとめられたこの本は、有用かと思います。



音楽で笑顔を広げよう!!





結局のところ、僕がやりたいことはこういうことですね。
まずは僕の半径10メートル内に居る人たちから♪






「野口幸太ピアノ教室」募集状況





ただいまのところ、代表講師である野口クラス、及び今年から開講した月曜担当講師の久保田クラス、共に募集を停止しております。
新たに募集を開始する場合は、当ブログに於いてもご案内をさせていただきます。



3月24日「ステップコンサート」の様子をスライドショーにしました





【出演】
「ステップクインテット」
■メンバー
野口幸太(ピアノ/司会)、原悠一(チェロ)、日比野慎也(パーカッション/ドラム)
廣瀬史佳(ヴォーカル)、藤田美斗里(サクソフォン)

会場:中央工学校ステップホール
主催:クラシック応援団
後援:中央工学校生涯学習室、(財)日本文化生涯学習振興会21



スライドショー!「グラマラスナイト」(2月16日)





2月16日に開催した「THE GLAMOROUS NIGHT(ザ・グラマラス・ナイト)」の舞台写真を、本番の音源に乗せてスライドショーにしました。
写真撮影はauraY2の深谷義宣さんです。

ソプラノ:川越塔子、西本真子
テノール:鈴木俊介
バリトン:井出壮志朗
ピアノ:野口幸太(MC)、織井香衣、谷川瑠美

■スタッフ
企画・統括: 横山修司
制作・マネージメント: 野口幸太(AtoK labo)
制作協力: 福永綾子(ナヤ・コレクティブ)
ステージ・ディレクション: 清水龍之介
楽曲アレンジ: 野口幸太、織井香衣、谷川瑠美
主催:GLAMOROUS NIGHT project

■演奏曲目
•アイヴァー・ノヴェロ:
「Glamorous Night」よりGlamorous Night、Fold Your Wings
「The Dancing years」よりWaltz of My Heart
「Perchance to dream」よりWe’ll Gather Lilacs
•ロバート・ライト:
「KISMET」よりAnd This is My Beloved
•フレデリック:ロウ:
「My Fair Lady」よりShow Me
•エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト:
「Die Stumme Serenade」よりSerenade、Shönste Nacht
•ミッシェル・ルグラン:
「Le demoiselles de Rochefort」よりChanson des jumelles
•クルト・ヴァイル:
「Marie Galante」よりJ’attends un navire、Le Roi d’Aquitaine
「Street Scene」よりLonely House
•アンドレ・プレヴィン:
「A Streetcar named desire」よりI want magic!